当社は、事業年度が1月1日から12月31日までの内国法人であり、令和7年1月1日から開始する事業年度において初めて基準期間における課税売上高が1,000万円を超え課税事業者となることとなりました。
当該課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、令和6年中に適格請求書発行事業者の登録申請書を納税地の所轄税務署長へ提出すれば良いのでしょうか。
免税事業者が、課税事業者となる課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、課税事業者となる課税期間の初日から起算して15日前の日までに適格請求書発行事業者の登録申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。そのため、当該事例については令和6年12月17日までにその登録申請書を納税地の所轄税務署長へ提出する必要があり、その申請が令和6年12月17日を過ぎる場合には、申請後登録を受けた日から適格請求書発行事業者となります。
なお、適格請求書発行事業者の登録を取り消す場合も同様に 、その取り消そうとする課税期間の初日の前日から起算して15日前の日までに適格請求書発行事業者の登録の取り消しを求める旨の届出書を提出する必要があります。
関係法令:消法57の2②、消法57の2⑩一、消令70の2、消令70の5③
得意先から売上代金が振り込まれた際に、振込手数料を天引きされるケースがあります。
この場合、この天引きされた金額に対応するインボイスを得意先から交付してもらった方がよろしいでしょうか?
インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等につき、返品や値引き、割戻などの売上に係る対価の返還等を行った場合には「返還インボイス」の交付義務があります。
しかしその金額が税込み1万円未満である場合には、「返還インボイス」の交付義務は免除されます。
つまり、今回のケースにおいて、売上代金の回収時に天引きされた振込手数料相当額を売上値引きとして処理する場合には、当該振込手数料相当額は通常1万円未満ですので、この値引きに係る「返還インボイス」の交付義務は免除されることとなります。
インボイス制度開始後も一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が行うことができる出張旅費特例について、概算払いの日当以外の費用も対象になるのでしょうか。
社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取扱われ、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除(出張旅費特例)が認められます。
この社員に対する支給には、概算払によるもののほか、実費精算されるものも含まれますので、実費精算に係るものであっても、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができます。
出張旅費特例の対象となる費用については、電車代、宿泊費、日当のほか、駐車場代、ガソリン代も対象になると考えられています。
当社は製造業を営む法人であり、この度、保有している遊休地を譲渡しました。土地の譲渡については消費税法上、非課税売上に該当することから課税売上割合が減少することになります。
この場合において、課税売上割合に代えて課税売上割合に準ずる割合の適用を受けることはできるのでしょうか。
土地の譲渡が単発のものであり、かつ、当該土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がないと認められる場合に限り、次の①又は②の割合のいずれか低い割合により課税売上割合に準ずる割合の適用を受けることができます。
(注)
令和5年10月1日現在法令等
関係法令:消法30③、消令47⑥、消令53③、消基通11-5-7
令和5年10月1日のインボイス制度開始後も、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を満たすものがあると聞きましたが、どのような場合でしょうか。
インボイス制度においては、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされますが、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
① 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
② 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除きます。)
③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
この場合、帳簿の記載事項に関し、通常必要な記載事項に加えて、次の事項の記載が必要となります。
参考:国税庁 インボイス制度に関するQ&A問101、問107(令和5年4月改訂版)
父が個人商店を経営しておりましたが、先日不慮の事故で死亡しました。
父の確定申告状況を確認し、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えておりました。
私も個人事業(簡易課税制度で申告を行っております。)を行っておりますが、父の事業を相続した今年は簡易課税制度を適用できなくなりますでしょうか。
相続があった場合、簡易課税制度の適用の判定において、被相続人の基準期間の課税売上高は判定に影響はせず、相続人のみの基準期間の課税売上高により判定することになります。
相続があった年の翌年以降に簡易課税の適用を判定する基準期間の課税売上についても同様になります。
当社は従来から保有している暗号資産を、国内の暗号資産交換業者を通じて売却したいと考えております。
もし実際に売却した場合には、消費税の仕入税額控除を計算する際の課税売上割合に影響はありますか。
国内の暗号資産交換業者を通じた暗号資産の譲渡は「支払手段等の譲渡」に該当するため、課税売上割合へは影響しません。
課税売上割合の計算は以下の算式で計算されます。
支払手段の譲渡については消費税法上非課税とされているものの、同法施行令によって資産の譲渡等にも含まないものとされているため、上記算式の分子・分母のいずれにも含まれず、課税売上割合へは影響しません。
関係法令:消法6①、30、別表1二
消令9④、48②、49
当社は、日本に本店のある法人で、外国法人Aに出資していましたが、令和4年中に外国法人Aの株式を日本の法人に売却しました。
なお、外国法人Aは株券を発行しておらず、当社はその株券を有していません。また、外国法人Aの株式については非上場であり振替機関等が取り扱うものでもありません。
この売却についての消費税の内外判定を教えてください。
平成30年4月1日以後では株券を発行していない譲渡についての内外判定の基準となる所在地は次のとおりです。
①振替機関等が取り扱う株式の譲渡については、振替機関等の所在地により判定します。
②振替機関等が取り扱わない株式の権利の譲渡については、株式の権利を発行した法人の本店、主たる事務所その他これらに準ずるものの所在地により判定することとされています(消費税法施行令第6条第1項第9号)。
そのため、株券の発行がない非上場の外国法人Aの株式の権利の譲渡については、国外取引に該当することとなります。
なお、国内外の複数の振替機関等により株式が取り扱われている場合には、当該株式の売買の決済に際して、振替に係る業務が国内の振替機関やこれに係る口座管理機関で行われるものについては当該国内の振替機関の所在地で判定し、それ以外の株式については外国の振替機関等の所在地で判定することとなります。
令和5年10月からインボイス制度による適格請求書の交付が始まると聞きましたが、消費税課税事業者としてどのようなことをしなければならないのでしょうか。
インボイス制度とは適格請求書等保存方式のことで、令和5年10月1日から導入され、定められた一定の記載事項を表示した請求書等の発行が必要となります。
消費税課税事業者は原則として令和5年3月31日までに税務署に適格請求書発行事業者の登録申請を行い、登録番号を取得した事業者が適格請求書等を発行することができます。
消費税課税事業者でない事業者は適格請求書を発行することはできませんのでご注意ください。
請求書等には下記の記載事項が必要となります。
※消費税額等の端数処理は、一つの適格請求書につき税率ごとに1回となります。
詳細については八重洲税理士法人の担当者へお尋ねください。
当社は消費者向けに鮮魚を販売していますが、合わせて鮮魚に軽微な加工(切る、たれに漬け込むなど)を施した小売販売も行なっています。
鮮魚を仕入れたのち、上記のような軽微な加工を行って販売を行なう場合には、簡易課税制度上、製造業等に該当し、第三種事業として申告をする必要があるのでしょうか。
消費税法上、第二種事業(小売業)は、「他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで販売する事業」とされています。
ところで、ご質問のように、軽微な加工を施した小売販売を行った場合についてですが、通達では、当該加工が、当該加工前の食料品を販売している店舗において一般的に行われると認められるもので、加工後の商品が当該加工前の商品と同一の店舗において販売されるものであるときは、第二種事業に該当するものとして取り扱って差し支えないとされています。(消費税法基本通達13-2-3)
従って、軽微な加工(切る、たれに漬け込むなど)を行って小売り販売を行った場合で、上記条件に当てはまる際には、第二種事業として申告する事になります。
当社は新型コロナウィルス感染症に関連した特別融資を受けており、中小企業基盤整備機構が実施している利子補給を受けることができました。
当該利子補給は、金融機関に対する支払利息の補填をする趣旨のものなので、消費税の区分は非課税売上となりますか。
事業者が金融機関から融資を受けた際の借入利息に係る利子補給は、不課税取引(消費税の対象外)となります。
そもそも消費税法上、消費税の課税対象となる取引は、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等(及び外国貨物の引取り)」とされています。
(消費税法2条1項8号、4条1項)
ご質問の利子補給は、国や地方公共団体から支給を受ける助成金や給付金と同様、資産の譲渡等に対する対価として事業者が受けるものではないことから、消費税の区分は不課税取引となります。
なお、「資産の譲渡等」とは、事業として有償で行われる資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供をいいます。
当社は、単身赴任をしている従業員に対して、月に2回に限り自宅との往復交通費を単身赴任手当として実費支給しています。
この往復交通費について、課税仕入として処理していたところ、税務調査において仕入税額控除の対象にならないと指摘を受けました。
単身赴任手当は、家族と離れて生活することに伴い生活費等の負担が大きくなることに配慮して、給与等の補填として支給されるものと考えるため、所得税においては給与所得として源泉徴収の対象とされています。
また、消費税における出張旅費、宿泊費、日当は、事業者が事業遂行のために必要な費用を旅行をした者を通じて支出しているものと捉え、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額は、仕入税額控除の対象として取扱われています。
これに対し、ご質問の単身赴任者に支給される旅費は、職務の遂行に必要な旅行の費用として支給されるものとは認められず、また、その旅費は給与に該当するものであることからすると、消費税の仕入税額控除の対象とならないことになります。
課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の場合には、原則として、消費税を納める義務が免除されると思いますが、「特定期間」で判定も必要があるとお聞きしました。
「特定期間」とはどのようなものでしょうか。
次の事業者の区分に応じた期間(「特定期間」といいます。)における課税売上高が1000万円を超える場合には、消費税を納める義務が免除されません。
なお、課税売上高に代えて、給与等支払額により判定することもできます。
よって「特定期間」における課税売上高及び給与等支払額が1000万円を超える場合は課税事業者になります。
その判定の結果、課税事業者に該当する場合は「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を速やかに税務署へ提出する必要があります。
「特定期間」
■個人事業者の場合
その年の前年の1月1日から6月30日までの期間
■法人の場合
太陽光発電設備による売電収入について、消費税簡易課税制度を選択している場合の事業区分を教えてください。
太陽光発電設備による電力の売却収入は、消費税簡易課税制度を選択している場合の事業区分は第三種に区分されます。
なお、個人の方が生活の用に供するために設置した太陽光発電設備で、その設備から生じた余剰電力(全量売電に該当しない、使い切れずに余った場合に電力会社に売却しているもの)の売却収入は消費税の課税対象となりません。
当社はパンの製造・持帰り販売を行っております。
令和2年7月1日よりレジ袋の有料化が始まりましたので、これまで購入者に無料で配布していた持ち帰りのためのレジ袋(持ち手があるプラスチック製のもの)の代金を別途請求することとなりました。
この場合に、レジ袋の代金については飲食料品の販売に付帯する通常必要なものとして軽減税率の対象となる「飲食料品の譲渡」に該当するでしょうか。
お尋ねの場合のレジ袋の代金については、飲食料品の販売に付帯する通常必要なものに含まれないため軽減税率の対象となる「飲食料品の譲渡」に該当せず、標準税率が適用されます。
飲食料品を販売する際の包装材料及び容器についての消費税率の取扱いは、国税庁『消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)』(令和元年7月改訂)問25に公表されており、取扱いについては以下のとおりとなっています。
飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器(以下「包装材料等」という。)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当します。
ここでの通常必要なものとして使用される包装材料等とは、その飲食料品の販売に付帯するものであり、通常、飲食料品が費消され又はその飲食料品と分離された場合に不要となるようなものが該当します。
なお、贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合のその包装材料等の譲渡は、「飲食料品の譲渡」には該当しないため標準税率が適用されます。
当社は居住用のマンションを一棟丸ごと借り上げて従業員用社宅として利用しています。
賃貸借契約書には社宅として利用する旨が記載されていますが、当社が住宅として利用するものではなく、従業員に有料で転貸する場合の賃借料収入は、非課税売上となるのでしょうか。教えてください。
住宅の貸付けについては、その貸付けに係る契約において「人の居住の用」に供することが明らかな場合に、消費税が非課税とされていますが、令和2年度の改正により、契約において人の居住の用に供することが明らかにされてない場合であっても、その貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合(※)については、消費税を非課税とすることとなりました。(基通6-13-7) (基通6-13-10)
したがって、建物を当該事業者に貸し付ける場合には、貸主と当該事業者との間の賃貸料及び当該事業者と従業員との間の賃貸料(使用料)ともに非課税となります。
※貸付け等の状況からみて人の居住の用に供することが明らかな場合とは、例えば、住宅を賃貸する場合において、住宅の賃借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合が該当します。(基通6-13-11)
令和2年4月1日以後に行われる住宅の貸付けから適用されます。
当院は産婦人科を経営しています。この度の税務調査により医業収益に関する消費税の課税区分に関していくつか誤りの指摘を受けてしまいました。
保険診療報酬に関しては非課税売上であることは分かっていますが、助産に係る課税区分について教えてください。
医療機関が行う、自由診療報酬は一般的に消費税の課税売上になるものが多い中で、助産に係る診療報酬については、非課税売上となるものが下記の通り定められています。(消費税基本通達6-8-1)
① 妊娠しているか否かの検査
② 妊娠していることが判明した時以降の検診、入院
③ 分娩の介助
④ 出産の日以後2月以内に行われる母体の回復検診
⑤ 新生児に係る検診及び入院
また、妊娠中及び出産後の入院について次の通り非課税売上が定められています。(同通達6-8-2)
① 妊娠中の入院については、産婦人科医が必要と認めた入院(妊娠中毒症、切迫流産等)及び他の疾病(骨折等)による入院のうち産婦人科医が共同して管理する間の入院
② 出産後の入院のうち、産婦人科医が必要と認めた入院及び他の疾病による入院のうち産婦人科医が共同して管理する間については、出産の日から1月を限度として助産に係る資産の譲渡等に該当
③ 新生児についても上記②に準ずる
尚、上記入院に係る差額ベッド料等についても非課税売上となります。(同通達6-8-3)
2019年9月25日にクレジットカードで入場券の発行されない、いわゆるチケットレスサービスによる演劇鑑賞を申し込み、決済を行いました。
演劇の公演日は2019年11月10日でしたが、この場合、消費税率等に関する経過措置が適用されるのでしょうか?
事業者が、旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金を施行日前に領収している場合において、当該対価の領収に係る課税資産の譲渡等が施行日以後に行われるときは、当該課税資産の譲渡等については旧税率が適用されます。
この経過措置が適用されるかどうかの判定に当たっては、当該チケットが発行されているかどうかを問いません。
したがって、演劇鑑賞のチケットが発行されていない場合であっても、そのチケット代についての決済が施行日より前に終わっている場合、経過措置が適用され旧税率となります。
当社は、小売業を営む8月決算の法人です。過去5年間は消費税の課税事業者でしたが、来事業年度からは免税事業者となります。
そのため、当事業年度の確定申告において棚卸資産の課税仕入れに係る消費税額の調整が必要と聞きました。
決算時に在庫となっている棚卸資産については前事業年度以前からの物も含まれていますが、すべての棚卸資産について調整しなければならないのでしょうか。
課税事業者だった者が免税事業者となった場合の仕入税額控除の調整は、免税事業者となった課税期間の初日の前日において有している「当該前日の属する課税期間中に国内において譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産」を対象としています。そのため、免税事業者となる来事業年度の直前の事業年度、すなわち当事業年度中に国内において譲り受けた課税仕入に係る棚卸資産のうち当事業年度の末日に有しているものが仕入税額控除の調整対象となり、前事業年度以前において行った課税仕入れに係る棚卸資産は対象とならないことになります。
なお、この場合の「当該前日の属する課税期間」ですが、特段の規定は設けられていませんから、課税期間特例選択届出書を提出して3ヶ月又は1ヶ月を一の課税期間としている事業者にあっては、免税事業者となる直前の3ヶ月又は1ヶ月の課税期間において課税仕入れを行った棚卸資産のうち、その直前の課税期間の末日において有しているものを対象として調整を行うことになりますので、ご注意下さい。
当社はこれまで課税売上が1,000万を超え、消費税課税事業者でしたが、最近の景気変動により数期にわたり売上を落とし、免税事業者となりました。しかし少しずつ売上が回復し、下記の通り売上が推移しております。
2014年3月期 課税売上 税抜1,200万円(税込1,260万円) 課税事業者
2015年3月期 課税売上 税抜 850万円(税込 918万円) 課税事業者
2016年3月期 課税売上 税抜 900万円(税込 972万円) 課税事業者
2017年3月期 課税売上 税抜 950万円(税込1,026万円) 免税事業者
2018年3月期 課税売上 税抜1,050万円(税込1,134万円) 免税事業者
2019年3月期 課税売上 税抜1,100万円(税込1,188万円) ?
今期(2019年3月期)は2期前(2017年3月期)の税抜売上げが950万円と1,000万円を切っていたため、免税事業者が継続しているものと思い、消費税の申告をしなかったところ、税務署より消費税の申告を行うよう指摘を受けてしまいました。
今回のケースでは、2期前の2017年3月期は免税事業者であるため、売上の中に消費税は含まれていないこととなり、
課税事業者の判定はあくまで売上総額(税込金額)で行います。そうなりますと課税売上は1,026万円(=950万円×108%)となり、1,000万円を超えています。
よって今期(2019年3月期)は課税事業者となりますので、消費税の申告が必要となります。
私は卸売業を営んでいる国内事業者で開業以来課税事業者となっています。2年前から会社で利用するデータの一部の保存をクラウド上で行っています。(年額50万円)そのサービス提供者が国外事業者でしたので消費税は課税対象外で申告を行ってきました。この国外事業者の役務提供は、事業者と契約を交わして行うものとなります。
当社の消費税申告においての課税売上割合は99%前後になることが多いのですが、前期に内国法人の有価証券の売却を行ったためその期の申告の課税売上割合はちょうど90.00%となりました。上記のデータ保存に関する取引については事業者向け電気通信利用役務の提供に該当するということで、リバースチャージの適用をするよう指摘がありました。
平成27年10月1日の改正により、国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務が課されることとなりました。(リバースチャージ方式)
今回の年額50万円の事例では、
課税標準額に対する消費税額が500,000円×6.3%=31,500円増加
仕入税額控除(共通して要するもの)500,000円×6.3%×90%=28,350円増加
よって、消費税額の納付税額が4,000円増加します。
計算:(31,500-28,350) +(31,500-28,350)×1.7/6.3=4,000円
なお、経過措置により、課税売上割合が95%以上である事業者及び簡易課税制度が適用される事業者については当分の間特定課税仕入れはなかったものとされます。
当社は専門書籍の出版社です。
海外からも当社の書籍を購入したいと要望があり、高額な書籍を大量に郵送しました。その際に消費税の輸出免税の対象として申告しましたが、輸出証明の書類がないため要件を満たしていないと指摘を受けました。
輸出免税の対象とするためには、以下の書類を保管することが必要です。
1、郵便物以外の場合
税関長の証明(輸出許可書)によります。
2、郵便物で輸出価額の合計額が20万円超の場合
税関長の証明(郵便物輸出証明書)によります。
3、郵便物で輸出価額の合計額が20万円以下の場合
帳簿又は物品受領書等によります。
以上の書類を忘れずに保管してください。
私は認可外の保育園を営んでいるものです。教育にかかる費用については社会政策的配慮から消費税は非課税となると聞きました。学校等の種類によって取り扱いが異なるそうですが、認可外保育園の利用料も非課税となるのでしょうか。
都道府県知事の認可を受けていない保育施設(以下「認可外保育施設」といいます。)のうち、一定の基準(認可外保育施設指導監督基準)を満たすもので都道府県知事等からその基準を満たす旨の証明書の交付を受けた施設及び幼稚園併設型認可外保育施設の利用料については、児童福祉法の規定に基づく認可を受けて設置された保育所の保育料と同様に非課税とされます。
消費税が非課税となる上記施設の利用料等の範囲は、乳児又は幼児を保育する業務として行う資産の譲渡等に限られ、具体的には次の料金等を対価とする資産の譲渡等が該当します。
(1) 保育料(延長保育、一時保育、病後児保育に係るものを含みます。)
(2) 保育を受けるために必要な予約料、年会費、入園料(入会金・登録料)、送迎料
なお保育料とは別の名目で領収される場合であっても、保育に必要不可欠なものである限りにおいて(1)(2)と同様に非課税となります。
弊社は公益財団法人として公益事業のみを行い収益事業を行っていない為、法人税は課税されませんので法人税及び消費税の申告を行っていませんでした。この度税務署より消費税の申告が必要ではないかとの連絡を受けましたが、法人税が課税されなくても消費税申告は必要なのでしょうか。
公益法人は法人税法の収益事業の範囲に規定する収益事業により生じた所得について法人税課税(なお収益事業であっても公益目的事業として認定されていれば課税されません)されます。消費税は国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等について課税されます。
公益法人も事業者であるため対価を得て行う資産の譲渡等が課税対象となります。
従って基準期間又は特定期間における収益事業及び公益事業の対価を得て行う事業収入がどれだけあるかを確認して免税事業者とならなければ課税事業者となりますので課税事業者届と消費税申告が必要となります。
当社は、簡易課税方式を採用している中小企業です。この度、売掛債権の貸し倒れが生じてしまいましたが、貸し倒れに係る消費税額は、仕入税額控除として計算するようなので、簡易課税方式を採用している当社は税額控除が受けられませんか?
簡易課税方式を採用している場合でも、貸倒れにかかる消費税額について税額控除を受けることができます。
売掛金その他の債権が貸倒れとなったときは、貸倒れとなった金額に対応する消費税額を貸倒れの発生した課税期間の売上に対する消費税額から控除することができます。そしてこの規定は、簡易課税方式を採用している場合でも有効な規定ですので、控除を忘れないようにしましょう。
尚、この規定を受けるためには、債権の切捨ての事実を証する書類その他貸倒れの事実を明らかにする書面の保存が必要となりますのでご注意ください。
当社は小売業を営む12月決算の法人です。
11月に新たに11月から翌年10月まで事務機器の保守契約を締結し、契約締結時に1年分の保守料を支払いました。
この保守料金について、法人税の申告においては、支払った全額を当期の損金としております。
この1年分の保守料金について、消費税の課税仕入れの時期はどのように取扱われますか。
課税仕入れを行った日は、原則として資産の譲受けもしくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日とされています。
しかし、前払費用について、法人税基本通達2-2-14(短期の前払費用)の規定の適用を受け、支出時の損金の額に算入している場合は、その前払費用に係る課税仕入れは、その支出日の属する課税期間において行ったものとして取扱われます。
そのため、お尋ねの保守料金については、全額当期の課税仕入れとすることになります。
私は年間売上が数百万円の生花店を営んでおります。
私の父も青果店を営んでおりましたが、昨年病気により死亡しました。
私は事業拡大を考え、父の事業を私が全部承継することにしました。
確定申告に際して、生花店の基準期間(前々年)の課税売上高が1000万円以下のため消費税は免税事業者と考え申告は不要と考えていましたが、税務署で父の事業の基準期間の課税売上高が1000万円を超えるため納税義務は免除されないと指摘を受けました。
相続があった年
お父様の基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合は、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの間のあなたの課税売上高について納税義務が免除されません。
税務署の指摘通り申告が必要になります。
また、相続があった年の翌年又は翌々年は、お父様の基準期間の課税売上高とあなたの課税売上高の合計額が1000万円を超える場合は、納税義務は免除されません。
私は個人で食品(唐揚げ)の持ち帰り販売を行っています。商品の準備をする際に座って待ってもらえるよう、また、少量での販売であればすぐ食べられるよう店内に椅子を用意しています。消費税額の計算は簡易課税制度を適用しており、売上の大半が持ち帰り販売ということで第3種での申告を行っています。
簡易課税の事業区分の判定は、原則としてその事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行うこととされています。唐揚げ等加熱調理をして販売した場合は第3種事業に該当し申告のとおりです。しかし食べてもらうための椅子等、飲食のための設備を設けて飲食させる事業は第4種事業に該当します。[消基通13-2-8の2(旅館等における飲食物の提供)]そのため、本来は店内で食べる分の課税売上高は別途把握する必要があります。
しかし二以上の事業を営む事業者で、そのうち一の事業又は特定の二の事業に係る課税売上高が全体の課税売上高の100分の75以上を占める事業者については特例計算によることが認められていますので、課税売上高全体の内、店内飲食分の課税売上高が100分の25より少なければ現在の申告の金額と変わらない結果となります。
ところで、飲食設備の設置は今後適用予定の軽減税率の適用対象であるかどうかの判定にも関わりますので注意が必要です。
私は魚屋を営んでおり、配達にも利用できる車両の購入をしました。
この車両は家事にも共用しているため、所得税の確定申告においては、事業専用割合を合理的に計算し、減価償却として必要経費を計上しています。
この年の消費税の計算では取得金額に係る全額を仕入控除税額の対象として申告をしてしまい、これを税務調査の際に間違いだと指摘されました。
個人事業者が事業と家事に使用する資産を購入した場合は家事共用資産となります。この場合は、あくまでも仕入税額控除の対象となるのは事業用の部分に限られます。よって、その取得金額を合理的な基準により区分したうえで、事業用の部分だけを仕入控除税額の対象とすることになります。(消費税法基本通達11-1-4)
所得税の計算において合理的に事業専用割合を見積もっているわけですから、消費税の計算においても取得金額の合理的な事業専用割合をもって仕入税額控除の対象とすることになります。
前課税期間において、当社保有の保管用倉庫(課税商品のみを保管)が事故により損壊したことから加害者に対し損害賠償金を請求するための弁護士報酬を支払いました。
その弁護士報酬について、課税商品保管用倉庫に係るものであることから「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」として個別対応方式による仕入税額控除を計算し申告していたところ、税務調査の際、調査官からこの弁護士報酬については「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」であるとの指摘を受けました。
当事例における損害賠償金を請求するために要した弁護士費用は、課税商品そのものを譲渡するための費用(課税仕入れ)ではなく、損失の補てんという資産の譲渡等に該当しない取引の為に要した課税仕入れに該当するため、「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」として取り扱われます。
なお、損害賠償金の性質が実質的に課税資産の譲渡等に該当するものである場合に生じた弁護士費用は「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」として取り扱われます。
毎年恒例の社員旅行の行き先を、いつもは国内のところを今年は国外としました。
例年お願いしている旅行会社(国内企業)から派遣された添乗員に海外現地を案内してもらいましたが、この人材派遣料は仕入税額控除の対象になりますか?
人材派遣料が仕入税額控除の対象となるかどうかの内外判定は、当該派遣社員が役務提供を行う場所で判定します。
a.案内をしてもらった場所が海外現地のみの場合…国外取引となり、仕入税額控除の対象とはなりません。
b.海外現地のみの案内ではなく、出国から帰国まで一貫して行われる添乗サービス等の場合…役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地で内外判定を行うこととなります。上記の事例の場合は派遣元が国内企業であるため当該人材派遣料は仕入税額控除の対象となります。[消費税法施行令第6条第2項第6号]
私は数棟の居住用アパート・マンションを所有しており、不動産賃貸業を営んでおります。
平成24年にそのうちの一棟を4,500万円(うち土地部分3,000万円)で売却しました。平成24年分の確定申告において譲渡所得の申告を済ませ、課税関係は完結したと思っておりました。
平成26年中に別のアパートを一棟売却し、その年分も所得税の確定申告を終わらせほっとしていたところ、消費税の申告がされていないとの指摘を受け、多額の納税及び延滞税が発生しました。
消費税法基本通達5-1-7により事業付随行為も課税の対象となります。したがって事業用資産の売却なども課税売上としてカウントされることになります。
個人事業者の場合、建物の売却は譲渡所得となりますが、所得税の所得区分は消費税の課税対象には関係ありません。
事例の場合、居住用アパートの賃貸収入は非課税であるため、平年は課税売上が1,000万円を超えたことが無く、平成26年分では消費税の納税義務者になる実感が無かったために申告を失念してしまったもので、簡易課税制度の適用も受けられず、納税が多額に上ったケースと思われます。
なお、平成27年分において納税義務は消滅しますが「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」は提出しておきましょう。
平成28年分は平成26年に売却した物件の建物部分の価格が1,000万円以上であれば再び納税義務を有することとなりますので注意してください。
いずれにせよ、しっかり専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
当社は、3月決算法人です。
社員の国内出張が3/31~4/1の1泊2日で行われ、その宿泊料金の支払いが前日の3/30で行われていたため、支払った日の属する課税期間において課税仕入れとして処理していたところ、翌期の課税仕入れにあたると指摘を受けました。
消費税における資産の譲渡等をした時とは、所得税及び法人税の課税所得の計算の取扱いと同じく、下記の様に取り扱われます。
(1)資産の譲渡
引渡しのあった日
(2)資産の貸付
契約や慣習などにより支払日が定められている場合にはその定められた支払日
(3)役務の提供
物の引渡しを要する請負契約にあっては目的物の全部を完成して引き渡した日、
物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部の提供を完了した日
事例の場合、その宿泊料は上記の(3)のうち物の引渡しを要しない請負契約に該当し、その課税仕入れの計上時期は宿泊サービスの提供が完了した日となり、チェックアウトした4/1が計上時期になるため、指摘されたものと思われます。
また、長期滞在の宿泊料金は、週あるいは1ヶ月ごとに請求されている場合には、請求の都度計上しても差し支えないものとされています。
当社は、平成26年8月に事業譲渡により事業を譲り受けたことに伴い、複合機のリース契約の地位承継が行われました。当該リース契約は平成24年4月に締結された所有権移転外ファイナンス・リース取引であることから、税率は8%を適用し売買取引として処理を行いましたが、後日適用される税率は5%であると指摘を受けました。
平成20年4月1日以後に契約を締結した所有権移転外ファイナンス・リース取引について事業譲渡によりリース契約の地位承継が行われた場合には、新借手にとっては旧借手が免れることとなるリース債務を対価として行われたリース資産の購入として取り扱うこととなります。また、その際に適用される消費税率は、旧借手と貸手間のリース取引について適用されている税率と同じ税率を適用することとなります。
事例の場合、平成24年4月に締結されたリース契約ですので、旧税率である5%が適用されることとなります。
海外の取引先向けに国内の免税店で食品のお土産を7千円で購入し、その取引に係る課税区分を課税仕入として処理していましたが、課税仕入とならない旨の指摘を受けました。
海外へ持参するものであっても、日本国内で購入した物品については原則として消費税が課税されます。が、以下のすべての要件を満たす場合には、輸出取引にあたるものとして消費税が免除されます。
当社は運送業を営んでおり事業用トラックを相当数所有し毎年のように車両の入れ替えの為下取りに出しています。車両下取りの際にはリサイクル預託金も一緒に譲渡していますがリサイクル預託金はそのままの金額で譲渡する為消費税認識をもっていませんでしたが、今回の税務調査で非課税売上に該当する為、課税売上割合を計算し直した結果、課税売上割合が95%を下回ると指摘されました。
リサイクル預託金は金銭債権に該当し譲渡については非課税売上とされています。従って課税売上割合を計算する際には、分母である課税売上高+非課税売上高に含めることになります。
なお、平成26年4月以降の取引から全額を課税売上割合計算に含めるのではなく、リサイクル預託金譲渡金額の5%を非課税売上高として計算することになります。
消費税の仕入税額控除の方法につき原則法を採用しています。社長が会社のクレジットカードを所持しており、様々な経費精算に利用しています。カード会社が発行する請求明細書が月単位の〆で届くので、それを証憑として保存し、領収書等は二重計上を回避するためもあり、廃棄しておりました。このことにより仕入税額控除は認められないとの指摘がありました。
仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿及び請求書等の両方を保存する必要があります。
なお、取引の実態を踏まえ、税込みの支払額が30,000円未満の場合には、請求書等の保存を要せず、法定事項が記載された帳簿の保存のみでよいこととされています。
また、税込みの支払額が30,000円以上であっても請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合には請求書等の保存がなくても仕入税額控除ができますが、この場合には、法定事項を記載した帳簿にそのやむを得ない理由及び相手方の住所又は所在地を記載しなければならないこととされています。ただし、法人税法では30,000円未満であっても保存は義務付けられていますから、ご注意ください。
今回の場合、カード会社の請求明細書は法人税法上の支払を証明する証憑ではあるものの、消費税法上では課税仕入の相手方が発行したものではないため、上記請求書等に該当せず、事例のような指摘があったものと考えられます。
出張のため航空券を予約し代金を支払いましたが、突然出張が取り止めになりキャンセル料が発生したため、支払った代金一部の返金がありました。
戻らなかった代金全額を課税として処理していましたが、誤りだと指摘されました。
消費税は課税資産の譲渡等に係る対価について課税されます。
キャンセル料の中には、解約に伴う事務手数料を役務の提供として課税取引とされるものと、本来得ることができたであろう利益がなくなったことに対する損害賠償金として不課税取引とされるものがあります。
キャンセル料の性質により判断して処理する必要があります。
現在リース契約により支払うリース料については毎月支払い時に賃借料として会計処理していますが、今回の消費税率改正により平成26年4月以降分については消費税率8%になるのでしょうか。
平成20年4月以降に契約した所有権移転外ファイナンスリースについては税務上売買とみなして取扱うこととされています。したがって消費税においても契約した時点での消費税率を適用することになり、平成26年3月までに契約したものの支払いが平成26年4月以降になっても消費税率は5%となります。
これは売買として取扱われた時点で取得とみなされその後の支払いは代金を分割払いしているにすぎない為です。なお実務上は賃貸借処理し消費税を分割控除することもありますが、その場合においても消費税率は5%となります。
当社は事務所として賃借していた物件に関して、以前お世話になったA社からその場所をどうしても使いたいので、所有者との契約を変更してA社に引き継いで欲しいという旨の打診がありました。取締役会で検討した結果、応じて当物件から撤退することにしました。その際所有者(賃貸人)立ち合い了承の下、当社とA社の間で「建物等賃貸借権譲渡契約」を締結し、A社から一定の金員を受取りました。この金員の処理については、立退料にあたるものとして消費税の課税対象外処理をしていたところ、間違いであるとの指摘を受けました。
当社が受け取った金員は、本物件の賃借人としての権利を譲渡することにより受け取ったものですから、資産の譲渡等の対価(権利の譲渡)であり、消費税の課税の対象となります。
賃貸人から立ち退きを求められ受け取ったものではありませんので、課税対象外の立退料とはなりませんからご注意ください。(消基通 5-2-7(注))
当クリニックでは保険証を忘れた患者様から窓口で診療報酬の全額を頂いています。後日に保険診療として差額を返金するつもりでいるため非課税売上で処理していましたが、誤りだと指摘されました。
医療機関では非課税売上が多くありますが、取引内容に応じて課税・非課税の判断をしていく必要があります。保険診療報酬は非課税、自由診療は課税という認識があるかと思いますが、精算をして保険診療とするまでは自由診療の課税売上として処理する必要があります。
さらに、自由診療に区分される自動車損害賠償法(自賠責)に規定する収入や労働者災害補償保険法(労災)に規定する収入は非課税とされており、例外もありますのでご注意下さい。
当店は精肉や自家製造コロッケを販売する小売店を営んでおり、簡易課税を選択しすべて小売業の第2種事業として消費税申告をしていましたが、自家製造コロッケの販売は第2種事業ではないと指摘を受けました。
簡易課税を選択している場合には、事業内容により第1種事業から第5種事業に課税売上を分けて申告する必要があります。
今回の事例ですと、自家製造コロッケは材料を加工して販売していますので、製造業の第3種事業に該当することになり、課税売上を第2種事業と第3種事業に分けて申告する必要があります。簡易課税を選択している場合には課税売上を事業区分ごとに区分しておく必要がありますので、注意して下さい。
当社は、駅前に土地を有しています。その土地の前にあるショッピングモールから、日曜日だけその土地を借りたいとの申し出があり、日曜日だけ貸し付ける契約を締結しました。
この土地については、普段は当社の駐車場として利用していますが、更地のままで特に駐車場その他の施設としての整備はなされていません。また、日曜日だけの貸し付け(年間52日間)契約であり、貸付期間が30日を超えるため、この賃貸料については消費税の非課税売上として処理していましたが、課税売上であるとの指摘を受けました。
土地の譲渡及び貸し付けについては、消費税の非課税取引とされますが、1ヶ月未満の土地の貸し付け及び駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合には、非課税取引とはされません。
今回のケースですと、日曜日だけの貸し付け契約は、1日だけの貸し付けの集合体と考えられるため、その賃貸料は消費税の課税の対象となります。
当社は、居住用アパートの貸付けを行っております。そのアパートに広告物を取り付け、使用料を受け取りました。
消費税の経理処理を、アパートの賃料と同様に非課税の売上げとしていましたが、課税の売上げであると指摘されました。
住宅の貸付けは、非課税の売上げです。
しかし、アパートに広告物を取り付けて受け取った使用料は、アパートの壁面等の貸付けの対価に該当し、非課税である住宅の貸付けには該当しませんから、課税の売上げとなります。
私は個人で八百屋を営んでおります。私の平成22年の課税売上高は600万(基準期間)であります。
先日(平成24年3月31日)不動産賃貸業を営む父が75歳で死亡し、その事業を長男である私が引継ぐことになりました。父の事業の平成22年度の課税売上高は1,200万であります。
この場合、相続人である私は平成24年分の消費税の申告義務があるのでしょうか。
まず相続のあった年の取扱ですが、被相続人(お父様)の基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、相続のあった日(お父様が亡くなった日)の翌日から年末までの期間については相続人(あなた)は課税事業者になります。
この際に注意したいのは、申告義務が生ずるのは相続があった日の翌日以後の売上だけですので相続人(あなた)の1月1日から相続があった日までの期間分については申告の必要はありません。
翌年及び翌々年の取扱は相続人と被相続人の基準期間の合計額で判定することになります。
なお事業者免税点制度の適用が見直され、当課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、当課税期間の前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6か月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間においては課税事業者となります。なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から適用されることを付け加えておきます。
当社は食料品等の販売を主力とする小型のスーパーマーケットを営んでおります。売上高にはこの他ビール券や商品券などの消費税が非課税とされるものも含まれており、その事業年度の課税売上割合は93.5%でした。
この年度において、売上高の増加を目論み、企業イメージアップのため社名ロゴを制作し、それを新聞広告や駅看板に掲出するなどの宣伝をして、広告宣伝費として処理しました。
実際にその効果は実現して食料品の売上が増加しました。当該広告費について支出した消費税額等の全額を仕入税額控除の対象としたところ、全額控除はできないとの指摘を受けました。
その課税期間における課税売上割合(全体の売上に占める課税売上の割合)が95%未満である場合や、その割合が95%以上であっても平成24年4月1日以後に開始する課税期間における課税売上の金額が5億円を超える場合には、支出した消費税額を個別対応方式、又は、一括比例配分方式によって計算した税額を控除することになります。事例のケースですと、個別対応方式を選択しており、主力課税売上の増加に貢献したことで、当該仕入税額は課税売上にのみ要するものとして全額控除の計算を行ったものと思われます。
しかしながら、その広告の内容が企業のイメージアップのためのものであったことから、一概に課税売上にのみ要するものとは言えず、非課税売上にも関わっているということになります。これが食料品の特売広告等の課税商品の売上促進のための広告であれば、事例のような全額控除計算が可能となります。したがって事例の場合は、課税売上と非課税売上に共通して要するものとして、課税売上割合によって計算した金額が控除対象仕入税額となりますので、ご注意ください。 なお、一括比例配分方式(対応を行わず、支出した消費税額の全額を課税売上割合によって計算する方法)は一度選択すると2年間の継続適用が必要となりますから、重ねてご注意ください。
当社は、日本国外に土地と建物を有しています。
この度この土地と建物を売却することになり、売却広告を日本国内の不動産情報誌に掲載し、掲載料を支払いました。
当社は、税額控除の計算方法として個別対応方式を採用しています。
不動産情報誌に掲載した不動産掲載料を、土地と建物の譲渡であるため、『課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れに係る消費税額』として仕入税額控除を行っていました。
『課税資産の譲渡等』とは、非課税となる国内取引を除いた資産の譲渡等です。(消法2①九)
よって、国外取引は全て『課税資産の譲渡等』に該当するため、その売上に対応する課税仕入れは、『課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに係る消費税額』として仕入税額控除を適用できますのでご注意ください。
当社では車両を売却した際に車両本体と自動車税の未経過部分を合わせて請求し車両本体部分は課税売上とし、自動車税未経過部分は税金の戻りとして不課税として処理していましたが、自動車税未経過部分も課税売上であるとの指摘を受けました。
都道府県税としての自動車税は、毎年4月1日を賦課期日として所有者に課税されるものですが、年度の中途で所有者に変更があった場合でも同一の課税地域内での変更の場合、年度末に所有者の変更があったものとみなされているため、車両を売買する場合に未経過部分に相当する自動車税を請求する場合があります。
しかしその未経過自動車税は徴収権者である都道府県に支払うものではないため、請求書や契約書で明確に分かれている場合であっても、その未経過自動車税相当額を含めた金額が課税資産の譲渡対価となり消費税の課税対象になります。
従って売却車両について未経過自動車税を請求した場合には課税売上となり、中古車として購入した車両について未経過自動車税を支払った場合には車両取得価格に含めるとともに消費税課税仕入となります。
当社はオフィスビルを賃貸しています。
契約書に敷地部分の賃貸料と建物部分の賃貸料を区分して記載しているため、敷地部分の賃貸料収入は土地の貸付けとして非課税売上としていたところ、敷地部分と建物部分の賃貸料総額が課税売上になると指摘を受けました。
土地の貸付けは、オフィスビルの貸付けに伴って発生したもので、必然的に発生したものです。したがって契約書に敷地部分と建物部分の賃貸料を区分して記載していても、便宜的に区分しているものであり、非課税の対象となる土地の貸付けには該当せず、賃貸料総額が課税の対象となります。(消基通6-1-5)
また、オフィスビルの貸付けではなく駐車場や駐輪場として貸付けた場合において、土地の整備やフェンスの設置等をしていないとき(車両や自転車の管理をしている場合を除きます。)は、非課税の対象となる土地の貸付けに該当するため非課税売上になりますのでご注意下さい。
(消基通6-1-5(注)1)
当社は消費税免税事業者であった事業年度に発生した売掛金が、課税事業者である前期に倒産により回収不能となったので貸倒損失として計上し、消費税の貸倒れに係る税額として控除し申告しましたが、今回の税務調査において免税期間に発生した売掛金の貸倒れは控除できないとして修正申告をすることになりました。
消費税の免税期間における課税資産の譲渡等に係る売掛金が、課税事業者となった後において貸倒等により回収不能となった場合には、貸倒れに係る消費税の控除等の適用はされないことになっています。(消基通14-2-4)貸倒が発生した場合には、売掛金の発生年度を確認し課税事業者であったか確認して消費税の処理をするようにして下さい。
なお、課税事業者が免税事業者になった後に発生した貸倒れについても納税義務者ではないので、貸倒れに係る消費税額の控除等の適用は同様にありませんのあわせて注意して下さい。
(消基通14-2-5)
当社は建設業を営んでいます。受注する工事の工期は短期で大規模なものはありませんので、売上高の計上はすべて工事完成基準をとっております。
外注先に支払う下請け代金は出来高で請求してもらい、請求の都度消費税の仕入税額を計上しています。税務調査において、期末に未完成であった工事について計上した外注費(未成工事支出金)は課税仕入れに該当しないとの指摘を受け修正申告しました。
請負工事等に係る目的物の完成前に行ったその工事等のための課税仕入れの時期は、原則として、資産の引渡しを受けた時または外注先等の役務の提供が完了した時となります。
貴社の下請け先の場合は、出来高で請求しているとは言え、その出来高について明確な検収をしているわけではなく、部分完成引渡しを受けているとは客観的に認められなかったための指摘と考えられます。
出来高の算定を概算ではなく、明確な基準をもって算定し、下請け業者に確認を受けた「出来高検収表」を作成保存し、その「出来高検収表」に記載された金額をもって支払いをすれば、部分完成引渡しを受けているのと実態的には変わらないことが客観的になりますので、工事等が未完成であっても課税仕入れに該当することとなります。
私は、個人で賃貸マンションを所有する個人事業主です。
マンションの利用方法は入居者の希望に合わせていたため、居住用やオフィス用など様々な使われ方をしており、消費税の仕入税額控除については、個別対応方式を採用しています。
2年前に、そのマンションの1室をオフィスとして使用している会社からの要請もあり、床暖房設備を126万円で設置したので、その年の消費税の申告で6万円の仕入税額控除を受けました。
その設置から1年半後にその部屋が空いたので、次の入居者に居住用として賃貸を開始していたところ、税務調査で「固定資産の転用の調整」をした上で修正申告するように指摘されました。
居住用マンションに関する費用は消費税の非課税売上に対応する仕入に該当するため個別対応方式では仕入税額控除は受けられません。
そこで、オフィス用(消費税の課税売上)として100万円以上の固定資産の購入があり、その購入から3年以内に居住用(消費税の非課税売上)にその固定資産が転用された場合には、「固定資産の転用の調整」をする必要があります。
この事例のケースでは、固定資産の購入から1年超2年以内の転用ですので、転用された年の仕入税額控除額を4万円(6万円の3分の2)減らさなければならないこととなります。
当社は出版社ですが、国内で発行する雑誌に国内に支店がある外国企業からの依頼により、広告を掲載した分を輸出免税として申告しましたが、税務調査の際に輸出免税の対象にはなりませんと指摘を受けました。
外国企業が国内に支店等を有している場合には、その役務の提供については居住者である国内の 支店等を経由して行ったものとして、その広告役務の提供は輸出免税の対象にはなりません。
ただし、その役務の提供が国外の本店等との直接取引であり、国内にある支店等が直接的 にも間接的にもかかわっていないこと、及びその国内にある支店等の業務はその役務の提供 についての業務と同種あるいは関連業務でないことのいずれをも満たす場合には、輸出免税の 対象になります。
当社は役員Aの退職にあたり、退職金の支給を株主総会で決議しましたが、その金額の資金繰りがつかなかっため、一部を会社所有の車両で現物給付したことろ、調査において車両譲渡による課税売上漏れを指摘されました。
上記のケースですと、消費税法第2条1項8号の「代物弁済」に該当し、課税対象となるので注意が必要です。 これが株主総会において、最初から一部を車両で現物給付する旨の決議があり、これに基づいて行われたものであれば、課税の対象とはなりませんので、決議の内容によって取扱いが異なることとなります。
基本通達5-1-4
消費税法第2条1項8号((資産の譲渡等の意義))に規定する「代物弁済による資産の譲渡」とは、債務者が債権者の承諾を得て、約定されていた弁済の手段に代えて他の給付をもって弁済する場合の資産の譲渡をいうのであるから、例えば、いわゆる現物給与とされる現物による給付であっても、その現物の給付が給与の支払に代えて行われるものではなく、単に現物を給付することとする場合のその現物の給付は、代物弁済に該当しないことに留意する。
当社(簡易課税事業者)は下請に支給した原材料等の受払管理を的確に行わせるため、有償支給制度(下請へ払い出す時に売上高計上、下請業者から受入する時に材料仕入高計上、売上高と仕入高は同額)をとっていますが、実質的に無償支給と考え消費税を対象外としていました。 税務調査の際に有償支給である限り、対価を得て行われる資産の譲渡等に該当し、課税売上高に含めるよう指導をうけました。
簡易課税を選択している事業者は、課税売上高から消費税を計算しますので課税売上高が増加すると納付消費税額が増加します。 ただし、有償で支給する場合であっても、支給材料等の品質管理や効率的使用等の観点から、形式的に有償支給の形態を採っているもので、材料等の支給取引について売上げ、仕入れ等の損益科目でなく、仮払金又は未収金とする経理方法等を通じて支給する材料等を元請会社が自己の資産として管理していることを明確にしているときは、消費税の課税の対象とはなりません。
当社は所有不動産を売却した際に、売却後の期間に相当する未経過固定資産税相当額を買主から収受していましたが、固定資産税の戻りに該当するとして消費税の課税対象に含めていませんでしたが、税務調査において建物に相当する部分は課税売上に該当するとの指摘を受けました。
固定資産税は毎年1月1日の所有者に対して課税されるものであり、その後不動産を売却して買主から収受した未経過固定資産税は課税権者である地方公共団体から還付されたものではありません。消費税では事業者が国内で対価を得て行った資産の譲渡等を課税対象としており、その対価とは資産の譲渡につき対価として収受し又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外のもの若しくは権利その他の経済的利益の額としています。従って買主が固定資産税の負担なしに不動産を所有することができる対価として、今回のように未経過固定資産税を売主が収受した場合には、不動産の売却価格を構成するものとして建物に相当する部分は消費税の課税対象となります。なお、同様に土地に相当する部分は非課税売上となりますから、課税売上割合の算定にはご注意ください。
当社は、クレジットカード(法人カード)を利用しており、毎月カード会社から送付されてくる「請求明細書」を請求書代わりに保存していましたが、税務調査において消費税法上、仕入税額控除の要件である「請求書等」には該当しないとの指摘を受けました。
消費税の仕入税額控除を受けるための要件として、「帳簿及び請求書等の保存」があります。今回の場合の「請求明細書」は、カード会社から交付さたものであり、課税資産の譲渡等を行った事業者(販売店など)から交付されるものではないため、要件に規定する「請求書等」には該当しないので注意が必要です。
なおカード利用時に販売店などが交付する「ご利用明細」であれば、一般的に (1)その書類の作成者名 (2)課税資産の譲渡等の年月日 (3)その内容及び対価の額 (4)その書類の交付を受ける者の名称が記載されているため、要件に規定する「請求書等」に該当しますので、販売店などが交付する「ご利用明細」を合わせて保存しておくようにして下さい。
当社は経費削減の一環として業績不振の支店を閉鎖致しました。この支店事務所は賃借物件だったのですが、賃貸借契約による契約解除予告期間をまたず即時解約であったため解約に際し、契約に定める6ヶ月分相当額の解約金を支払いました。これを課税仕入として税額控除を受けたところ、この程の税務調査において課税仕入には該当しないとの指摘を受けました。
契約期間の中途で解約する場合において、賃借人の貴社から賃貸人に支払われる解約金(この場合は賃料6ヶ月分の賃料相当額)は、賃貸人が被った損失=逸失利益ですから損害賠償金に該当し、消費税等の課税の対象とはなりません。ただし、通知した明渡し期日の遅滞により賃借人が賃貸人に支払う損害賠償金等実質的に賃借料相当となる金額は、名目の如何によらず賃貸借の対価となり課税仕入に該当します。
当社は建設業を営んでいます。従業員に対し、業務に必要な知識や技能を習得させるため、実技研修会に参加させ研修参加費は、社員がその場で立替払いをし、後日会社からその費用をもらっていました。会社は課税仕入として経理処理していましたが、税務調査において、社員本人が支払いしており領収証の名前も個人名になっているので、給与と考えられるから課税仕入には該当しないと指摘されました。
実技研修会の受講が会社の業務上必要性に基づくものであり、かつ、領収証に会社名が記入されていれば問題はなかったことでしょう。今回は業務上の必要性にかかるものと説明し実質的に判断して会社から研修先宛てへの支払いである事を認めてもらいましたが、以後充分に留意したいものです。税額控除は領収書等により確認される事を再確認して下さい。
当社は自家用車による通勤をしている社員に対し、交通機関利用の場合にかかる定期代相当の通勤手当を支給しています。もちろん所得税の非課税範囲となる通勤距離に応じた手当を超えた部分に対しては、所得税の徴収は行っていましたが、消費税の取扱い上通勤手当であることから課税仕入れとして処理していました。税務調査の際、各自の通勤経路の調査、距離の算定、燃費通行料等の計算等通勤にかかる費用の計算により、その金額を超えて支給した金額は、課税取引として税額控除を受けられないとして否認の対象となりました。
課税仕入れとなる通勤手当は「その通勤に通常必要であると認められる部分の金額」であり、非課税通勤手当限度枠内であるかどうかを問いません。
「通常必要」な部分とは、支給を受ける社員がその通勤にかかる距離、時間の実態に照らし最も合理的、経済的な経路を取った場合、その社員が負担することになる燃料代や通行料等です。しかしながらこのケースでは、この合理的な計算の根拠となる部分を超えて支給した部分があったため課税仕入れに該当しないとされたものです。
実態として、費用として支出されたことが明かであるから課税仕入れに該当することとなるのですから、所得税が課されたものと言えど課税取引として税額控除の対象にすることははできません。もちろん実態の根拠となる計算の文書化、整理保存は重要必須条件です。
当社は工場用建物を建設中に、中間金として建物代金の半額を支払い、また工場で使用する機械の代金も支払い、いずれも建設仮勘定として処理しました。(建物は建設中なので引渡しを受けていない。機械は引渡しを受けているが未稼動。)
決算に際し、消費税の税額控除を行いましたが税務調査において、建物については引渡しを受けていないので建物の仕入税額控除は出来ないと指摘されました。
消費税では、法人が建設仮勘定として処理している場合であっても、目的物の一部の引渡しを受けた時は、その引渡しを受けた部分について課税仕入として税額控除するのが原則です。 また、建設仮勘定として処理している間は仕入税額控除の対象としないで、目的物の全部の引渡しを受けた日の属する課税期間で課税仕入として税額控除することも認められています。
当社は、A社(メーカー)の販売店をしています。広告宣伝用の陳列ケース(A社名の表示があるもの)を取得するための協賛金を、A社より交付されました。この取引について、消費税の課税対象外取引として処理していましたが、この程税務調査において、課税売上に該当するとの指摘を受けました。
広告宣伝という役務提供の対価として協賛金を受入れたのですから課税売上となります。例えば、陳列ケースそのものを交付された場合には、課税対象外取引になります。
当社は新設法人6月1日設立(事業年度2月1日から翌年1月31日)で設立事業年度から課税事業者を選択し、 その翌事業年度中に「課税事業者選択不適用届出書」を提出したところ、税務署よりこの届出は受理できないので取下げてほしいと連絡がありました。
「課税事業者選択不適用届出書」は「課税事業者選択届出書」を提出した翌課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できないことになっています。従って新たに課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日は3期目の5月31日となり、この5月31日の属する課税期間の初日以降でなければ「課税選択者不適用届出書」は提出できませんので結果的に3期目まで課税事業者として拘束されることになりますので課税事業者を選択する際は慎重に検討して下さい。
当社は設立当初から株式会社ですが、1期目・2期目と本則課税により消費税の還付申告をし還付を受けていました。設立1期目(基準期間)の課税売上高が年換算で3000万以下である3期目も還付申告をしましたが、これに対し税務署より3期目の還付申告は認められないと連絡がありました。
設立時の資本金が1000万円以上の新設法人については、
基準期間のない設立事業年度とその翌事業年度については無条件に課税事業者となりますが、設立3期目は基準期間により判定しますので、
還付が見込まれる場合は2期目の事業年度終了の日までに「課税事業者選択届出書」の提出をして下さい。
当社は従業員の社宅として賃借していた住宅を解約した際に差入れていた敷金の内、 契約書により返還されない10万円を償却し仕入税額控除の対象としていましたが税務調査時に仕入税額控除の対象にならないとの指摘を受けました。
敷金であっても資産の借受けに伴い支払をするもので返還されないものは資産に係る権利の対価として資産の借受けの対価に含まれることになります。しかしこの事例では消費税の非課税仕入に該当する居住用住宅の借受けに伴うものですから家賃同様に仕入税額控除の対象とする事は出来ません。敷金等の償却がある場合にはその賃借物件が消費税の仕入税額控除の対象か、そうでないのかを判断して敷金等の返還されない金額についても同様に処理する必要があります。
当社は雑貨の卸業を営んでおります。 たまに海外からの引き合いがあり、 取扱い商品の輸出を行っております。
手続きが面倒なため業者経由で販売し、 入金もこの業者を経由しておりました。
売上の取扱いにつき輸出免税としていましたが税務調査にてこの取引が国内取引だとする指摘を受けました。
消費税は、 国内において事業者が行った資産の譲渡等が対象となります。
「国内において」行われたかどうかについては、 同商品が譲渡される時において商品の所在していた場所が判定の基準となります。 事例の場合手続き上のことから業者との間に売買契約が成立していたと見るべきでしょう。 つまり、輸出したのではなく国内に事業所を有する「業者」に販売したと解釈できます。 輸出したのはこの場合「業者」です。
手続きの簡便性を求めるのであれば、 事務委託契約等の基本契約を締結して事務処理の代行のみを委託することを検討されてはいかがでしょうか。
もちろんLC口座等を開設して海外から商品代金の直接収受をしなければいけないことは言うまでもありません。
当社はリース業者よりパソコンをリース取引により賃借していましたが、
リース期間の途中でリース物件を破損し使用不能となった為廃棄処分をしリース業者に損害金を支払い消費税の課税対象として申告をしていましたが税務調査において損害金は課税対象には該当しないとして修正申告を求められました。
リース物件を破損し廃棄処分をしたとこにより支払う損害金は資産に加えられた損害の発生に伴い支払う損害賠償金と考えられますので消費税の課税対象とはなりませんので注意が必要です。
なお、損害賠償金でも売買代金や賃借料の性質を有する場合には課税対象となる場合があります。
当社では同業者で設立された組合に加入し毎月会費を支払い会報等の配布を受けていましたので消費税の課税仕入に該当するものとして消費税の申告をしていましたが税務調査において課税仕入に該当しないとして修正申告を求められました。
同業者団体等が発行する会報等が会員から支払われる通常の業務運営に充てられる通常会費から賄われている場合には特別の給付等を行わない為、
対価性が無いので消費税の課税対象とはなりません。 支払った会費で会報が配布されているので課税仕入にしてしまいがちですので注意して下さい。
なお、 会費とは別に会報等の購読料を支払っている場合にはその購読料(会報等の購入のための対価性が認められる)は課税仕入に該当します。
税務調査においてA社員に対する出張旅費のうち、 その旅行について通常必要と認 め られる範囲を超える金額を給与として認定され、 これについては課税仕入に該当しませんと指摘をうけました。
事業者がその使用人等に支給する出張旅費、 宿泊費、
日当のうちその旅行について通常必要であると認められる部分の金額は課税仕入れに係る支払対価に該当しますが、
通常必要と認められる範囲を超える部分は所得税法上給与として課税されることとなり消費税においても給与を支払ったものとして課税仕入に該当しませんので注意して下さい。
なお、 旅費規定を作成してその規定内で公平に運用される様にして下さい。
当社では、 過年度において業務用の車両を下取に出し、 新車を購入しました。 税務調査において、下取の金額に ついて消費税の課税売上高に算入していないとの指摘 を受けました。
法人税の所得計算では、 このような場合、譲渡益が生じた のか譲渡損が生じたのかが重要となります。しかし消費税の
計算では、 譲渡益があるか譲渡損があるかに係わらず、 下取に出した車両が課税売上となります。 また簡易課税方式 を適用している場合は、
事業者が自己において使用していた固定資産等の譲渡を行う事業は、 原則として第四種事業 (みなし仕入率60%)に該当しますので留意が必要です。
当社は建築の請負(建築現場への人夫提供)及びクレーンと操作技術者の建設現場への派遣をしておりますが建設業に該当していると考え、
第三種事業(みなし仕入 率70%)で申告しました。 ところが税務調査で第一種、第二種、第三種、第五種事業
のいずれにも該当しない事業の第四種事業(みなし仕入率60%)に該当し修正申告が必要だと指摘を受けました。
建設業に該当しても、 元請等の指示に基づく人夫の提供や機械等のみを持参して行う人的役務の提供等、
加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供に該当する場合は、 第四種事業に該当することになります。
また今後クレーン等の新規購入など多額の固定資産の取得が予定されているならば、 本則課税への変更 も検討してみてはいかがでしょうか。
尚 前述のように「簡易課税制度選択不適用届」を適用年度の前日に提出し2年間継続しなければいけませんので慎重に検討して下さい。
1年間休眠状態にあった会社を買収し営業を再開しました。 再開にあたり設備投資等多額の支出がありました。 再開初年度には消費税は一般本則の申告をして納税したところ本則課税適用は受けられないとして修正申告しました。
消費税には基準期間という概念があり、 その基準期間に基づき課税のスタイルを判定します。 このケースでは休眠状態に入るさらに1事業年度前に簡易課税が選択状態にあったと思われます。 「簡易課税制度選択不適用届」が適用事業年度開始前までに提出されないと本則課税を適用して設備投資に係る支出消費税の税額控除を受けることはできません。また、 簡易課税制度は1度選択すると2年間は変更できません。
このように消費税には各種の届出書が存在します。 税務署への届出を怠ると不利益になる場合がありますので、 注意が必要です。
工事用大型車両を割賦にて取得しました。 見積もり明細を紛失してしまったため、 割賦手数料まで含めた全額を取得価額に算入し、 償却して行けば問題がないと思い処理しました。調査時に消費税の税額控除に問題ありとして否認されました。
資産取得につき税金や、 割賦手数料などの諸費用はつきものです。
自賠責保険や自動車重量税など消費税の課されないもの、 割賦手数料などの消費税の非課税となる利息、
金利を取得価額に算入すると合計に対して支出消費税が立ちます。 したがって、 この消費税は税額控除の対象外となりますから、
安易にすべてを取得価額にするのは問題です。
当社はクレジットカード発行会社と契約して加盟店となり、 お客様への販売代金をカード会社から受領しています。
カード会社から入金時に加盟店手数料を控除されますので、 これを計上して仕入税額の控除をしました。
調査時にこの手数料を課税仕入扱いにすることは認められませんでした。
クレジットカード発行会社から受領する代金は、 代金を回収代行してもらった性質とは異ります。
お客さんへの債権をカード会社に譲渡した対価というのが正しい解釈です。
したがって加盟店手数料相当額はカード会社への債権の譲渡損失ということになりますから、 仕入税額控除の対象とはならず非課税となります。
当社は簡易課税方式を選択しています。 なお、 経理方法は期中現金主義、 決算にて売掛金残高を洗い替えすることにより売上高を計上しています。 この売上高により消費税の申告をしたところ、 課税売上の計上もれの指摘を受けました。
取引先によっては、 かかった当社負担の費用や振込み手数料を相殺して入金してくる場合がほとんどです。
売上高を計上する際、 期中も発生主義で行っていれば問題ないのですが、 このようなケースでは完全に課税売上高の計上もれになってしまいます。
現金主義でも相殺された内容につき毎月きちんと確認し、 記帳するのがベターと思います。 また決算時一括で計上するときでも充分注意しましょう。